結論、100%わらび粉のわらび餅は、あまり美味しくない。
本物のわらび餅を教える
国産のわらび粉は1kg15000円の高級食材です。いわずと知れた山菜のわらびの根、その収穫からわらび粉の精製プロセスといったら、凄いご苦労がそこにはあるんですよ。
収穫したわらびの根のうち5%しか製品にならないっていう・・・95%ロス。誰がこんなものを食べ物にしようと考えた?
このわらび粉100%のわらび餅こそが本物で、至上の美味しさ・・・という訳では無いんです。
でもそう思いたい!
正直あまり美味しくないと思います。まずミネラルリッチなので、ミネラル感があります(スイーツにミネラル感っていらない)し、ごぼうのような土の匂いもあります。食物繊維が凄いのでお腹もゆるくなりがち。もっと安くて美味しい粉あるんですよね・・・。
日本人にありがちな、「高級品は本物で美味しい」という勘違い。
その思い込みはどこから来るのかというと、ネット・メディア情報です。
国産わらび粉100%が本物で美味しいって誰が言い始めましたか?
これはわらび粉100%のわらび餅を販売する側の人間とそれを「これは珍しい」と言って取り上げたメディアによって作り上げられた虚構なんです。
では、何が本物なのか?
と、その前に、私の実験結果をご紹介します。
どれが一番美味しいと思いますか?
①国産わらび粉100%の餅(1kg/15000円)
②蓮粉100%の餅(1kg/5000円)
③甘藷粉100%の餅(1kg/200円台)
④馬鈴薯粉100%の餅(1kg200円台)
⑤タピオカ粉100%の餅(1kg150円位)
*正確な金額は10年以上前のことで覚えていませんがだいたいこんな感じです。わらび粉値段、抜けてますね~。
これ同時に作って、従業員で食べ比べました。
わらび餅、他のものと食べ比べた結果は、、、
一位:甘藷粉>やさいしい甘さと香り、弾力も心地よく、圧倒的に美味しい。
二位:蓮粉>かすかな酸味によるものか、さっぱりとした味わいで、夏に食べるならこれが一番。
三位:わらび粉>ミネラル臭、ごぼうのような土臭い匂い。弾力も弱く食感も今一つ。
四位:馬鈴薯粉>無味無臭、雑味がなく、何かを作るベースの餅としては美味しいかも。こっちが三位という声も。
五位:タピオカ粉>加工されたケミカル感があって、何かを混ぜないと辛い。
という結果になりました。
正直、予想外の結果となったので、
私たちが売りたいわらび餅って何? お客様に食べてもらいたいわらび餅ってどれ?本物ってなんなのよ?
少なくとも一番高価なわらび粉100%のわらび餅を「これが最高に美味しいんだ」というような売り方は出来ないなと一同思った訳です。
嘘はつけないなと。
で、私たちなりにたどり着いたのが今、神田達磨で販売しているわらび餅です。蓮粉、甘藷粉がベースとなり、わらび粉はあまり使っていません。蓮粉使っているので、結構原価は高めです。
関西のわらび餅はわらび粉使ってない説
関西では昔から庶民向けにわらび餅が売られています。甘藷粉や馬鈴薯粉を100%で作ったものをその日のうちに売るというスタイルです。買うほうも、買ったらすぐ食べないといけないと理解しています。
関西人にとって、本物のわらび餅ってなんでしょうね?
そもそも、「わらび粉使ってないのに、なんでわらび餅ってネーミングつけたの?」
疑問が残ってしまった。
わらび餅が本物かどうかではなく、わらび餅の本質を語ろう。
関西の人に、「あんたが食べてるんはニセもんやで」なんて言ったらどんな反応になりますかね。
わらび粉100%が本物で、それ以外は偽物?
そういうことではないと思います。本物とか偽物とかそういう物差しでわらび餅は測れません。
美味しいものがリーズナブルに食べられるのも良し。
和三盆や沖縄黒糖と共に、高級なわらび餅をいただくもよし。
わらび餅の本質、魅力ってのは「作り立てに勝るものは無い」という事実と、地域性も含めた多様性だとも言えますね。
食べるほどに奥深いものです。
因みに持ち帰れるわらび餅の中で私にとっての一番は、
「京都 高台寺の洛匠さんの草わらび」
文句なしの絶品です。